淡路島・洲本の小高い三熊山に築かれた洲本城は、戦国武将の息づかいが残る石垣群と、日本最古の“模擬天守”で知られるお城。
山上からは洲本の街と紀淡海峡の眺めが広がり、海と山のコントラストがとても気持ちいい場所です。
城下では、レトロな町家が並ぶ路地や、市民広場のレンガ建築群、波の音が近い大浜海岸など、散歩したくなるスポットが点在。さらに洲本温泉は肌ざわりのやさしいお湯で、海辺のホテルが充実しています。
この記事では、洲本城の歴史や見どころ、歩き方モデルコース、グルメ、行き方・駐車場の実用情報までを一挙にご紹介。あわせて「洲本城観光に便利なおすすめ宿」も厳選して解説するので、週末の島旅計画にそのまま使ってください。
洲本城観光に便利なおすすめ宿泊施設5選
淡路島洲本温泉 海月舘
海月舘は大浜海水浴場が目の前。海を望む客室やパノラマ大浴場で洲本温泉を満喫でき、夏はホテル前で海水浴・館内プールもOKという“徒歩1分リゾート”が魅力です。
老舗らしい会席料理と、家族連れにやさしい館内設備が充実。
車は90台分の無料駐車場を備えます。洲本城へは車で約10分、または海沿い散歩で夢海游横の登山口へ出て20〜30分のハイキングで天守台へ。足元に不安がある場合は山上駐車場を使うと負担が少なめです。
周辺スポットは、
①大浜海水浴場(徒歩約1分)
②洲本レトロこみち(車約5分)
③洲本市民広場・ドラゴンクエスト記念碑(車約5分)
④淡路文化史料館(車約6分)など。
アクセス目安表|洲本城:車約10分/山上Pから天守台:徒歩6〜10分。
洲本温泉 夢海游 淡路島
大浜海岸の松林が目の前、洲本バスセンターから車5分・徒歩10分の好立地。屋内プールやスパがあり、ファミリーにもカップルにも使いやすい万能リゾートです。
ホテル脇の“三熊山登山口”から洲本城跡までは徒歩20〜30分。舗装道中心で、森林浴を楽しみながら登れるのが嬉しいポイント。車の場合は城跡駐車場へ回れば山上から徒歩8〜10分で本丸エリアです。
周辺スポットは、
①大浜海水浴場(徒歩約1分)
②洲本レトロこみち(徒歩15〜20分/車約5分)
③洲本市民広場(徒歩15〜20分/車約5分)
④淡路文化史料館(徒歩20分前後)。
アクセス目安表|洲本城:徒歩20〜30分/車約10分。
洲本温泉 ホテルニューアワジ <淡路島>
洲本温泉の象徴的存在。グループの湯処を“海辺の回廊”で湯めぐりでき、海にせり出す露天やインフィニティバスなど温浴体験が段違い。客室・食事・スパの総合力で、記念日や大人旅にフィットします。
洲本城へは車で約10分。ホテルから細道で三熊山方面の山上駐車場へ抜けるルートがあり、駐車後は天守台まで徒歩6〜10分。高速バスを使う場合は洲本バスセンターから送迎あり(時刻は公式参照)。
周辺スポットは、
①洲本レトロこみち(車約7分)
②洲本市民広場(車約7分)
③大浜海水浴場(車約5分)
④淡路文化史料館(車約10分)。
アクセス目安表|洲本城:車約10分/山上P〜天守台:徒歩6〜10分。
洲本温泉 淡路インターナショナルホテル ザ・サンプラザ <淡路島>
サントピアマリーナ内、全室オーシャンビューの温泉ホテル。季節の会席は鱧(べっぴん鱧)や由良の赤ウニ、冬の淡路3年とらふぐなど“島の海の幸”が看板。女性大浴場はリニューアル済みで、展望大浴場とサウナも人気。
洲本城へは車で約10分。夏期は大浜海水浴場まで送迎が出る日も(要公式確認)。
周辺スポットは、
①大浜海水浴場(車約5分)
②洲本レトロこみち(車約8分)
③洲本市民広場(車約8分)
④淡路文化史料館(車約10分)。
アクセス目安表|洲本城:車約10分。
ホテル名 | 洲本温泉 淡路インターナショナルホテル ザ・サンプラザ <淡路島> |
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(読み) | すもとおんせん あわじいんたーなしょなるほてる ざ・さんぷらざ |
特 色 | 海を一望するオーシャンビューに包まれ、四季の移ろいを五感で味わう、特別な旅を。洲本温泉うるおいの湯。 |
料 金 | 6050円~ |
住 所 | 〒656-0023 兵庫県洲本市小路谷1279-13 |
電 話 | 0799-23-1212 |
FAX | 0799-22-5823 |
最寄駅 | 洲本 |
アクセス | 大阪駅より高速バス120分/三宮駅より高速バス80分/神戸淡路鳴門道洲本ICより15分 |
駐車場 | 有り/無料 客室内ネット接続:Wi-Fi/無料 ホテル・旅館100選37年連続受賞 |
投稿件数 | 2474件 |
★の数 | (総合): 4.33 |
あわかん(旧:淡路島観光ホテル)
“釣りと家族の体験型旅館”。敷地内プライベート釣り場で道具・エサが宿泊者無料、スタッフ常駐で初心者や子どもも安心。露天風呂付き客室や屋外プールもあり、アクティブ派の拠点に最適。
洲本城へは車で約10分の表記が公式にあり、サクッと山上駐車場へ。
周辺スポットは、
①大浜海水浴場(車約5分)
②洲本レトロこみち(車約7分)
③洲本市民広場(車約7分)
④淡路文化史料館(車約9分)。
アクセス目安表|洲本城:車約10分。
歴史
室町末〜戦国:安宅氏と三好一族の「水軍の城」
洲本城の始まりは大永6年(1526)。阿波三好氏の重臣・安宅治興が三熊山一帯に築き、瀬戸内航路を押さえる“水軍の要”として発展しました。
山上に詰めの城、山麓に政庁機能を置く複合構造で、後に仙石秀久・脇坂安治らが拠点化。脇坂入城(1585)後は総石垣の近世城郭へ改修が進み、屏風折れの石垣や大石段、全国的に稀な「登り石垣」など、戦国後期の築城技術を示す遺構が形成されます。
海を望む高台に築いた理由は、水運掌握と紀淡海峡の監視。淡路の中心政庁として城下町も整えられました。これらの基本史は、洲本市の解説・県観光公式・博物館サイト等により確認できます。
江戸初期:脇坂転封と“事実上の廃城”、蜂須賀氏支配へ
慶長14年(1609)、脇坂氏が伊予大洲へ移ると洲本城は事実上の廃城に。その後、徳川政権下で淡路は蜂須賀家(徳島藩)の統治となり、家臣の稲田氏(稲田氏・稲田家)が城代として入部。上の城(山上)は軍事機能を縮小し、麓の「下の城(政庁・居館)」整備が進んだとみられます。
現地では城山麓の水堀・石垣や曲輪痕跡も見られ、洲本の都市基盤はこの時代に定着。上の城は軍事色の濃い山城、下の城は支配・行政の拠点として棲み分けた点が洲本城の個性です。
近代:昭和3年に“日本最古の模擬天守”が完成
山上の天守台には、昭和3年(1928)に鉄筋コンクリート造の模擬天守が建立。昭和天皇即位記念の“記念建築”で、復元ではなく観光・象徴性を意識した展望施設として設けられました。
現在は内部非公開ですが、石垣の上に建つ端正な小天守は三熊山のランドマーク。模擬天守としては日本最古とされ、洲本八景のひとつにも数えられています。
史跡指定と「続日本100名城」選定
城跡の保存価値は早くから注目され、1999年に上の城(山上部)が国の史跡に指定。のちに「続日本100名城」(No.164)にも選定され、全国の城郭ファンが訪れる目的地に。
山麓の下の城は洲本市の史跡指定で、併設の淡路文化史料館では城と城下町の資料・模型・古文書などを展示。
スタンプ(続100名城)や御城印は基本的にこの史料館で入手でき、休館日は市役所教育委員会での押印に対応します(最新は公式で要確認)。
研究最前線:天守が“実在した可能性”
近年の発掘で城跡から“文字瓦”が出土し、模擬天守以前に天守(または天守機能の建物)が存在した可能性が高いとの見解も話題に。まだ学術的検討が続いており断定はできませんが、戦国末〜江戸初期の洲本城の姿が更新されるかもしれません。今後の発掘・研究に注目です。
見どころ
登り石垣:全国でも数例のレア遺構
洲本城の代名詞のひとつが「登り石垣」。山麓の郭と山上の本丸を石垣で連続させ、山腹への侵入を遮断・分断するために築かれたものです。全国に残存例はわずかで、洲本城では西側ルートで形状を確認できます(保存状況は部分的)。
山道を歩きながら現れる長い石列は迫力があり、戦国技術の粋を体感できます。足元は苔で滑りやすい箇所もあるので、トレッキングシューズがあると安心です。
大石段・屏風折れの石垣:近世改修のスケール
本丸へ導く大石段、虎口周りの折れを多用した石垣群など、脇坂安治期の改修で“総石垣化”が進んだ洲本城は、山城でありながら近世城郭の構造美が光ります。
石垣の積み方の違い(野面積み中心)や折れの角度、張り出した武者走り等を見比べると、守りと見せ場の工夫がよくわかります。解説板や市のガイド資料を片手に歩くと理解が深まります。
模擬天守の外観美と眺望
昭和初期の意匠を残す小天守は、石垣上に軽やかな三層が載る端正な姿。内部に入れなくても、周囲を回れば写真映えの角度がいくつも見つかります。
海と街並みの抜け感は爽快で、晴れた日は和歌山方面まで遠望。夕刻の逆光シルエットもおすすめです。
山上駐車場から天守台へは徒歩6〜10分ほど。ベンチなどは少ないため、休憩はこまめに。
三熊山の自然:桜の名所・瀬戸内海国立公園
城のある三熊山は瀬戸内海国立公園。春は山肌を覆う桜が見事で、山道は木陰が多く季節の草花も楽しめます。野鳥の声や海風の匂いに包まれる山歩きは、登城の楽しみを一段と深めてくれます。
ハイキングついでに“芝右衛門狸の祠”など山内の小さな史跡もチェック。
飲み物は登り口で調達を。
下の城と淡路文化史料館:城下町の記憶に触れる
山麓の「下の城」エリアには、水堀や石垣の名残が点在。その一角に建つ淡路文化史料館では、洲本の成り立ち、淡路の民俗文化、珉平焼などの美術資料まで幅広く展示。城の前後関係を押さえるのに最適です。
続100名城スタンプ&御城印も基本ここで。開館は9:00〜17:00(入館16:30まで)、月曜休(祝日の場合は翌平日)ほか。
モデルコース
徒歩派:海辺から登る“王道ハイキング”(所要1.5〜2.5時間)
夢海游 淡路島の横にある“三熊山登山口”からスタート。
大浜海岸の砂浜を横目に、木漏れ日の舗装道〜山道を20〜30分で天守台へ。
天守周辺で写真&石垣観察(30〜45分)、下山後は洲本レトロこみちまで歩き、町家カフェでひと休み。
最後は洲本市民広場のレンガ建築群をさらりと眺める構成です。登りは一部勾配があるので、滑りにくい靴&飲み物を。雨天後は苔で滑る箇所に注意。
車派:山上Pから軽装で“いいとこどり”(所要60〜90分)
時間が限られる時は、山上の「洲本城跡駐車場」や「馬屋跡駐車場」へ。そこから天守台まで徒歩6〜10分で石垣の核心にアプローチできます。
往路は大石段〜虎口、復路は屏風折れ石垣を回遊するとメリハリ良し。
帰りに下の城エリアの淡路文化史料館に立ち寄って展示とスタンプ・御城印を入手すれば、短時間でも満足度高め。
ロング散策:城+レトロ路地+海(所要半日)
午前に山上で石垣と眺望を楽しんだら下山して「洲本レトロこみち」へ。江戸の路地筋に明治〜昭和の町家が残る約350mの“よりみち”エリアをのんびり散歩。
午後は大浜海水浴場で砂浜を素足散歩、夕方は海辺のベンチでサンセット待ち。夜は温泉で脚を癒す——そんな半日プランが王道。
由良方面へ足を延ばす:生石公園・要塞遺構(所要3〜4時間+車)
歴史好きなら車で南東の由良へ。生石公園は大阪湾と紀淡海峡を一望でき、旧日本陸軍の「由良要塞」遺構(砲台・弾薬庫跡)が残ります。
梅の名所でもあり、季節の展望が見事。洲本市内からは車でおおむね20〜30分。帰路に由良漁港で地魚ランチという流れも人気です。
スタンプ&御城印コンプリート(所要1〜2時間)
スタンプは淡路文化史料館1階ロビー、御城印も同館ミュージアムショップで頒布(各200円・書き置き、最新は公式で確認)。
休館日は市役所教育委員会で押印可能。先に下の城で押印→登城という順序だと動きがスムーズです。
グルメ
海の幸:鱧・赤ウニ・三年とらふぐの“季節を食べる”
洲本の宿や割烹では、初夏〜夏の鱧(べっぴん鱧)、盛夏の由良の赤ウニ、冬の淡路三年とらふぐなど、季節ごとの“海の主役”が登場します。
特に港に近い宿は仕入れの強さが魅力。ザ・サンプラザの案内でも鱧・赤ウニ・三年ふぐ等の提供が明記されており、島の海の幸を会席でじっくり味わえます。
予約時に“旬の内容”を確認してオーダーを。
淡路牛と玉ねぎ:鉄板&丼でがっつり
海の幸に負けず、淡路牛のステーキや丼、肉寿司を出す店も市街に点在。甘味の強い島玉ねぎはカツやハンバーグの相棒に最高。
昼は気軽な定食、夜は温泉帰りに肉で一杯、という使い分けがしやすいのも洲本の良さ。
※店舗情報は変動するため、出発前に最新の営業時間を確認しましょう。(一般ガイド)
海辺のカフェ&ベーカリー:朝散歩のご褒美に
海沿いのベーカリーやコーヒースタンドは朝散歩のご褒美にぴったり。テイクアウトして大浜の松林ベンチで食べるだけで旅の幸福度が上がります。
海風が強い日は紙袋+クリップなど、飛ばされない工夫を。(一般ガイド)
レトロこみちの食べ歩き:路地の小店を梯子
洲本レトロこみちは、約350mに30店前後の飲食や雑貨が点在。食べ歩きや喫茶が楽しく、イベント開催時はさらに賑やかに。
城下町の古い意匠を活かした空間で、島のクラフト飲料やスイーツを相棒に路地時間を楽しみましょう。
マリーナ&港町のシーフードランチ
サントピアマリーナや由良方面は港町の雰囲気。海を眺める席やテラスがある店も多く、魚介のパスタ・フライ・刺身定食など“気取らない旨さ”に出会えます。
ドライブの合間に寄りやすいのもポイント。(一般ガイド)
観光情報
行き方:大阪・神戸・空港から
・神戸(三宮)から洲本バスセンターまでは高速バスで約90分。
・大阪(梅田)からは約120分。
・神戸空港発の直通便も設定日あり。
・洲本市内の海辺ホテルはバスセンターからの無料送迎(ホテルニューアワジグループなど)が便利。
・伊丹・関空・徳島空港からは契約タクシーや路線バスの選択肢も。
駐車場・開放時間:山上は無料Pが複数
山上には「洲本城跡駐車場」「馬屋跡駐車場」、周辺に「三熊いこいヶ丘」「三熊山東園地」など無料駐車場があり、天守台までの徒歩は6〜16分が目安。
城跡は公園・史跡として“常時無料開放”ですが、夜間は照明が少ないため足元注意。観光は明るい時間帯推奨です。
所要時間の目安:歩き or 車で
登山口(夢海游横)からは天守台まで徒歩20〜30分。車利用なら山上Pから徒歩6〜10分で核心部へ。市街・温泉街から山上Pまでは車でおおむね10分が相場です(道路状況で変動)。
旅の装備・注意点
山道は苔で滑りやすい箇所あり。スニーカー以上の靴と両手が空くバッグが安心。
自販機は限られるため水分は登り口で。春の花見・夏の海帰りは人出が増えるので、山上駐車場は早めの到着がコツ。強風時は帽子・三脚の取り扱いに注意。(一般ガイド)
あわせて行く周辺スポット
・大浜海水浴場:夢海游や海月舘の目の前。日本の快水浴場百選。
・洲本市民広場:レンガ建築群と緑地、公園散歩が心地よい。
・洲本レトロこみち:350mの路地に町家ショップが点在。
・生石公園(由良):要塞遺構と大展望の高台。
まとめ
洲本城は、戦国山城のワイルドな石垣と近世城郭の造形美、そして昭和の“模擬天守”という三層の時間が重なるユニークな城跡です。
海と山がぎゅっと近い地形のおかげで、山上からの視界は実に広く、登ってよし・眺めてよし・写真もよし。城下にはレトロな路地、市民広場のレンガ建築、白砂青松の大浜海岸が歩ける距離にあり、温泉ホテルが旅の疲れをやさしく流してくれます。
歩き派は登山口からのんびり20〜30分、車派は山上Pから“いいとこどり”。
スタンプ&御城印は史料館で。週末の1泊2日でも、歴史・食・温泉の“洲本の三拍子”は十分楽しめます。